企業の人事の方最近会社で産休育休を取る人が多くなってきて、その際に悩むことが多いなと思うことはありませんか?
実は産休、育休で従業員に対して悩んでいる人事の方多くいます。
なぜなら、産休、育休に関しては制度が複雑です。更に現在はマタハラ問題もあるので発言にも気を付けたりと何が良くてなにがだめなのかの判断が難しいからです。
私は現場で人事として産休育休の手続きに携わっています。
この記事では実務上の産休育休のことで会社の方が従業員の方に対しての対応の仕方、現状の疑問を解決に導く手助けになる内容になっています。
読んでいただくことで育休を取った人に対してや制度に対する実務的な解決方法が身に付きます。
複雑化している育休、発言によってはマタハラになってしまう現状これらの問題を解決できる記事になっております。
Q&Aを元に解決策7選
- 育休取得の申し出や通知は口頭で行っても良いのか?
- 従業員が突然「明日から育休を取りたいのですが」と言ってきたら?
- 特別有給休暇の「配偶者出産休暇」と「産後パパ育休」が重なったら?
- 子の看護休暇について無給なら欠勤と一緒なのではないか?
- 管理職は所定外労働の制限を請求できるのか?
- 所定外労働の時間を請求した従業員には全く残業させられないのか?
- 育休中の従業員に「できるだけ早く復帰するのはどうか」と声をかけるのはどうなのかマタハラに該当するのか?
1.育児休業取得の申し出や通知は口頭で行っても良いのか?
口頭での申し出だけではなく書面等で行う必要があります。こちらは育児介護休業法で施行規則で規定されています。また、申し出を受けたときは会社側は書面等で通知することも規定されています。
- 育休を取得する従業員の方が職場復帰の意志があるかの確認の為
- 手続きの添付書類の為
- 社員の配偶者から書類を求められることがある為
手続きの添付書類の役割とすると育児休業給付金、社会保険料免除等についてです。
上記の内容につきましては「スパイラルアップ社労士事務所」さんが詳しく解説してくれています。
2.従業員が突然「明日から育休を取りたいのですが」と言ってきたら?
育児介護休業法では従業員の突然の申し出に対しては開始日を会社側が決定できると規定されています。育児休業を取得すると長期間の労働の提供がなくなりその穴を埋めないといけない状況になる為です。
育休の申し出は原則育休開始日の1か月前までに(延長・再延長は2週間)行うことになっています。
従業員からの申し出がこの期間よりも遅れた場合には会社側が開始日を規定できることになっています。
出産予定日より早く生まれた等育休が早急に必要なケースでは、従業員が申し出た日から1週間以内の日を開始日として指定する必要があります。
会社側は従業員の申し出が遅れても申し出通りに育休を開始しても問題はありません。
申し出等の日付を空欄で書いてくる従業員もいるのでその際には日付を記入する指示を徹底しましょう!
3.特別有給休暇の「配偶者出産休暇」と「産後パパ育休」が重なったら?
有給とは別に特別休暇を与える会社もあると思いますが、重なったときには産後パパ育休が優先されるべきでしょう。そもそも休暇は所定労働日に取得する為、産後パパ育休の期間には取得が出来ないと考えるのが自然だと考えられます。
企業独自の休暇がある場合は出生時育児休業、育休との兼ね合いに誤解がないように従業員の方にちゃんと説明をしましょう!
4.子の看護休暇について無給なら欠勤と一緒なのではないか?
小学校入学前の子を養育する従業員について、病気・けがをした子の看護のため、または子に予防接種・健康診断を受けさせるために取得する休暇をいいます。
※2025年4月1日に改正で小学校始期に達するまでの子から、9歳に達する日以後最初の3月31日までにある子(小学校三年生修了前までの子)に拡大されました。
子の看護休暇は、対象となる子が1人の場合は、1年度につき5日を限度として取得することができ、対象となる子が2人以上の場合は、1年度につき10日を限度として取得することができます
子の看護休暇を取得した日(または時間)について、賃金を支給する義務を定めていないことから、原則して当該取得日(または時間)は「無給」となります。
上記の子の看護休暇については「京都うえにし社会保険労務士法人」さんが詳しく解説してくれています。
【2025年4月改正】「子の看護休暇」に関する育児・介護休業法の改正内容(対象となる子の範囲の拡大、取得事由の追加など)を詳しく解説 | 京都うえにし社会保険労務士事務所
この内容を踏まえて今回の質問は子の看護休暇が無給であるなら欠勤と扱いは同じではないのか?という疑問です。
本来従業員に所定労働日に労働を提供する義務があり、通常の欠勤では労務の提供が行われない場合雇用契約に違反していることになります。
これが子の看護休暇であれば労働者の権利として休みを取ることが出来ます。取得したことによる不利益な扱いが禁止されています。このポイントが大きな違いになります!
5.管理職は所定外労働の制限を請求できるのか?
結論請求はできません。管理職は労働時間等に関する規定が除外されているため、請求できないこととなっています。
そもそも管理職とはどんな人が当てはまるのでしょうか?一般的には係長、課長、部長など役職がある人が対象だと考えられていると思います。
では役職が付いているけど仕事内容は役職が付いていない労働者と同じ方はどうなんでしょうか?
部や課といった組織の長として部下を指揮・管理する職位のこと
- 労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な職務内容を有していること
- 労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な責任と権限を有していること
- 現実の勤務態様も、労働時間等の規制になじまないようなものであること
- 賃金等について、その地位にふさわしい待遇がなされていること
上記四つに該当してる方が管理職になります!
要するに肩書ではなく、実際の働き方がどうなのかが重要ということです。
6.所定外労働の時間を請求した従業員には全く残業させられないのか?
こちらは必ずしも不可というわけではなく、従業員の一時的に育児をする必要がなくなった期間で従業員自身も本当に残業しても良いと思っているなら可能です。
ただ、頻繁に行うのは好ましくないでしょう。
7.育休中の従業員に「できるだけ早く復帰するのはどうか」と声をかけるのはどうなのかマタハラに該当するのか?
すべて該当するわけではありません。従業員のキャリアを考えたうえでの発言であればマタハラにはなりません。ただ、育休は従業員の権利なので育休の要件を満たしているのであれば職場復帰のタイミングは従業員の判断に委ねられることになります。
もし早期職場復帰を従業員に勧めるのであれば職場復帰の理由を明確にして伝える必要があるでしょう。
最後に…
今回は育休に関連した内容を質問形式で紹介してきました。育休はいろいろな状況が想定されます。解決するために重要なのは従業員に対するヒアリングをして、状況を把握することです。
育休は休み方はご家庭によって様々です。ただ育休は子供を育児するのが目的の休みです。そこを第一に考え会社側の方も従業員側も育休の期間を決めてもらえればと思います。
今回も読んでいただきありがとうございました。
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